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  • セリアック病

    先日、知人からセリアック病の友人の話を伺いました。

    セリアック病とは、小麦やライ麦に含まれるタンパク質のグルテンに対する遺伝性の不耐症で、グルテンに対し異常な免疫反応が生じ自分自身の小腸粘膜を誤って攻撃してしまう自己免疫疾患の一つです。

    なので摂取してしまうと下痢や腹部不快感などが現れるらしく、その方も常に下痢と便秘を繰り返しているようで、酷い時には病院で点滴の生活になるとのことでした。

    調べてみると毎日使う調味料などにも小麦が使われていて、パンやパスタなどを食べなくとも意外と摂取してしまうこと、そして悲しいことに日本では認知が低いためかグルテンフリーの食材やレストランが少なく、アメリカやヨーロッパなどと比べると生活し辛いらしいのです。

    日々の食生活の中で好き嫌いではなく、食べれるものと食べれないものがある、そしてその選択肢が少ないと言う状況はどんなにか不便であろうと色々と考えてしまいます…。何かお役に立てることはないのだろうか…。

    ここのところ悶々としております。

  • ル・コルビュジェ

    有難いご縁があり、先日ル・コルビュジェが設計した2つの建築に足を運ぶ事ができました。

    先ず最初は世界遺産に指定されているコルビュジェの初期の作品であるヴァイセンホフ=ジードルングの住宅。1927年にドイツで開催された「ジードルングの住宅展」に出展された作品で、大変コンパクトな住宅ですがル・コルビュジエの「近代建築の五原則」の要素が反映され、建具の細かい部分まで考え抜かれた素晴らしい住宅でした。ジャンヌレの家具や気持ちの良い屋上庭園も魅力的でしたが、お庭部分に置かれたコンクリートの椅子も印象的でした。

    2軒目は自らの作品を展示するために作られたチューリッヒ湖畔にあるル・コルビュジエ・パヴィリオン。それまでの彼の偉業が凝縮された美術館で、コンクリートと共にスチールとガラスを多用した唯一の作品です。長いスチールに20万個以上のボルトが使われ、外壁は白、黄、緑、赤、黒の5色のエナメルのパネル。彼の最後の作品に相応しい哲学とこだわりが感じられる、心地よい空間でした。ちょうど雨が降っていたのですが、軒樋から落ちる雨水を受ける器も美しく、細部に神が宿ると言うことの意味を実感できました。

    今度は是非是非パリのサヴォア邸に訪れたいものです。

  • お片付け

    今日は皆さまからのご質問が多いお雛様のお片付けについてご説明申し上げます。
    お雛様のお片付けで気を付けて頂きたいことはたった2つだけ!『湿気』と『ほこり』です。

    「湿気」はカビの原因となりますし、「ほこり」はそのままにしておくとシミや変色、虫食いの原因となりますので注意が必要です。ですが対策は簡単なのでご安心を。

    「湿気」対策はお片付けにカラッと晴れた日を選んで頂き、10月中旬から11月初旬の湿度の低い秋晴れの頃にお人形の入っている箱の蓋を開け、中の空気を入れ替えるだけ。そしてお人形の箱を床ではなく少し高い位置に保管して頂ければ心配ありません。もしお人形がビニールに入っている場合は不織の袋に入れ替えてくださいね。

    また「ほこり」対策も簡単です。お人形の配送時に同梱されているお手入れセットの手袋をつけて、同じくお手入れセットの刷毛で衣装のホコリを払うだけ。お顔や髪の毛にホコリがついている時には、カメラのレンズなどに使うゴムやシリコン製の手動のエアダスターで軽くシュッシュっと空気をかけてあげれば大丈夫です。

    最後に、お人形は一つ一つ不織の袋に入れてから(ビニールからは出してあげてください)箱の中に収めてあげてください。念のため、お人形用の防虫剤も一つ箱の中に入れてあげればさらに安心です。

    是非ご参考になさってください。

  • 端午の節句に甲冑を飾る理由

    梅の香りが春の訪れを教えてくれる心地良い日、皆さまどうお過ごしですか?

    今日は五月五日の端午の節句に甲冑(鎧と兜)をお飾りする理由についてお話しをさせてください。

    江戸時代、徳川家が行った世継ぎである男児の誕生を盛大に祝う行事が庶民にも広まり発展した端午の節句ですが、始まりは古く日本書紀まで遡ります。

    香り高く薬効のある菖蒲や蓬で厄を払う風情のある美しい行事と、枕元にお人形を飾り赤ちゃんの厄を移した風習が、後の武家の行事と合わさり今に伝わったと言われています。

    そして実は武家の男児らしく勇ましく育つことを願い甲冑が飾られただけではなく、甲冑には武具として身を守る以上の力があると信じられていました。

    その一つの例として、皇室では古くから男子が誕生すると、檜の薄板で作られた兜に、出し(だし)と言う美しい造花を挿した『檜兜』(ひのきのかぶと)を 神が宿る依代(よりしろ)として飾るしきたりがあります。依代とは神さまが降りる場所ですから、何とも力強いお守りです。

    また室町時代に書かれた『太平記』には不思議な力を宿す鎧の伝説が書かれています。
    藤原秀郷(平安時代中期)が大百足を倒す百足退治伝説の中で藤原秀郷は龍王からお礼に飛来矢(ひらいし)という大鎧(格の最も高い正式な鎧)を贈られます。現在も鎧の一部が国の重要文化財として栃木県唐沢山神社に保存されていますが、この鎧は着用しているとどんな矢にも当たらなかったと言われ、寺院に収められてからは『飛来矢大権現』として崇められたそうです。

    昔も今も甲冑を単なる武具としてではなく神聖な力を宿し我が子を守る『お守り』として飾ってきた私たち日本人。親の愛がいっぱい詰まった、優しい端午の節句を是非是非多くの方に楽しんで頂きたいなぁ。

  • お喰い初め

    我が家では毎年お正月のお雑煮や、鏡開きのお汁粉の時などに使う特別なお椀があります。
    漆塗りの蓋付きのお椀で、娘のお喰い初めの時に購入しました。もう娘は今年で15歳になりますから15年使っていることになります。
    日々のお味噌汁などには蓋の無い別の漆のお椀を使うのですが、特別なイベントの時にはいつも私たち家族のお膳に登場して美味しい演出を手伝ってくれる頼もしいお椀です。経年変化も美しく、月日と共に愛おしさが増すように感じます。

    私は小さい頃から漆器が大好きで、特に熱い汁物を頂く時には瀬戸物のお椀と違い熱が伝わりにくく、手に持った感触も口当たりも良いので、おつゆが数段美味しく頂けるような気がして必ず漆のお椀を使ってきました。そのせいか娘も漆器ばかりでなく漆のカトラリーも大好きになりました。

    そんな漆器大好きな私がこの度、生後100日目のお祝い”お喰い初め”に使うお椀をオリジナルで制作し販売することとなりました。福井県鯖江市で熟練の職人さんにお願いした最高級の越前塗りのお椀です。ベンガラなどの着色を一切せず、漆本来の色のみで制作したため、透明感のある美しいベージュです。化学薬品なども一切使用しておりませんので安心ですが、漆アレルギーの方はご注意くださいませ。
    大変良いお造りのお品物なので長くお使い頂けるようお修理も承ります。
    販売は三月から、お値段はお椀単品で48000円(税別)となります。

Profile

原 裕子
1975年8月28日生まれ。
無形文化財に指定された原米洲を祖父に持ち、母は原孝洲。
女子美術大学卒業後、ロンドンに美術留学。帰国後、孝洲の元で三世人形師として修行開始。
2008年に娘を出産。目標は日本文化の素晴らしさを世界に、そして後世に広く正しく伝えていくこと。

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