手間・場所いらず。雛人形のコンパクト収納法

桃の節句が終わる頃、綺麗に飾り付けたお雛様を、今度は元通りに片付けることになります。
ですが、いざ雛人形を収納してみようと思っても
「お雛様をしまうのが大変」「どう収納すればコンパクトにまとまるの?」とお悩みの方も少なくないはず。
このページでは雛人形を収納するのに適した場所やしまい方のコツ、実際に収納する際の手順についてご紹介します。

雛人形の収納について


本来お雛様は、お子様の厄を背負ってくれるお守りのような存在です。
そのため、来年もまたきれいな状態で飾ることができるよう、お人形が傷まないように収納しましょう。雛人形は石膏や絹、胡粉(ごふん)などの顔料、織物からできているので、カビが生えてしまったり、虫に食われてしまうことがあります。
収納の仕方に決まりはありませんが、収納をする際には「どうすればお雛様がきれいに保てるのか」ということを、ぜひお考えください。
そうすればきっと、末永く雛人形をお楽しみいただけるはずです。

はじめに雛人形の収納場所についてみていきましょう。

雛人形の収納に向いている場所とは

雛人形の収納に向いているのは、どういった場所なのでしょうか?
一つひとつ確認していきます。

風通しが良く、湿気の少ない場所

通気性が高く、湿気が少ない場所はカビが生えにくいため、雛人形の収納に適しています。
空気がうまく循環していると、湿気が溜まらず、カビも増殖しません。
水回りやキッチンなど、湿気が溜まりやすい場所を避けて収納し、お人形にカビが生えないように注意しましょう。
ちなみに、湿気は下に溜まるので、やや高い位置にしまうのがおすすめです。
クローゼットの天袋や押し入れの上段などが良いでしょう。

寒暖差が激しくない場所

寒暖差が激しい場所に保管すると、素材そのものが歪んでしまったり、塗装が剥がれてしまったりすることがあるため、収納には向きません。
また、直射日光が当たる場所も避けてください。日光が当たると衣装が傷みやすく、変色を招く恐れがあります。寒暖差の少ない日陰に収納しましょう。

雛人形をしまう時の手順

きれいな状態でお雛様をお飾りいただくために、次の手順で雛人形を収納するようにしてください。※お片付けの前には手を洗い、清潔に保つようにしましょう。

その1 お人形のホコリや汚れを取り除く

お人形の顔についたホコリを取り除きます。
まず初めに、雛人形からお道具を取り外します。
取り外したお道具は、なくさないように取りまとめておきましょう。
次に、ホコリが付いている部分に風をあてて、ホコリや汚れを吹き飛ばします。
風が強すぎると糊がはがれてしまうことがあるため、息を吹きかけるなどして、優しくホコリを払いましょう。
それでも落とせないホコリがあれば、ティッシュペーパーや脱脂綿、やわらかい筆や綿棒を使って、そっと拭き取ってください。
汚れを手で取ってしまう方もいますが、皮脂の影響でお顔にシミができてしまうことがありますので、なるべく手を触れずに汚れを落としましょう。

その2 お顔を保護する

お顔の保護(面紙:めんがみ)をします。
清潔なティッシュペーパーを、お顔の長さに合わせて折りたたみます。
折りたたんだティッシュペーパーをお人形の顔にくるくると巻き付け、端をセロハンテープで留めてください。

その3 毛ばたきで衣装のホコリを落とす

毛ばたきで衣装のホコリを取り除きます。
雛人形のお顔に面紙をしてから、衣装についているホコリをそっとはたいてあげてください。その際、毛ばたきに汚れが不着した状態で人形の顔に触れると、汚れてしまうことがあるので気をつけましょう。

その4 袋に雛人形をしまう

購入の際、雛人形が入っていた袋に収納します。
袋を失くしてしまった、または袋が最初からない場合は、市販の不織布の袋にしまうのがおすすめです。
袋にしまう際には、防虫剤や防カビ剤を入れないように気をつけてください。
お雛様の衣装に薬品が触れると、変色の恐れがあります。

その5 箱・収納ケースに雛人形をしまう

ここまで準備ができたら、箱に雛人形を収納します。
袋に入れたお人形を、箱の中にそっとしまいましょう。
箱とお人形の間には詰め紙をして、ガタガタと動かないようにしてください。
この時、詰め紙をふんわりと丸めるのがコツです。
また、インクでお人形が汚れてしまわないよう、印刷のない紙を使うようにしましょう。

その6 防虫剤を少しだけ入れる

最後の仕上げに、防虫剤を少しだけいれます。
防虫剤は、箱の隅にひと包みだけいれましょう。人形専用の防虫剤もありますが、もしも衣服用などの汎用のものが余っている場合はそちらで構いません。
この時のポイントは、防虫剤と一緒に防カビ剤・乾燥剤などを入れないことです。薬品同士が化学反応を起こし、雛人形の変色を招いてしまう危険性があるので注意してください。

その7 通気性の良い、湿気の少ない場所に保管する

風通しが良く、湿気の少ない場所に保管してください。
寒暖差が激しくない場所では、より傷みが少ないでしょう。

雛人形を収納するコツ

次に、雛人形をコンパクトに収納する方法や手間いらずの整理整頓術、また気をつけるポイントなど、収納のコツをご紹介します。

収納前に気をつけるべきポイント

お雛様を収納する前に気をつけておきたいポイントを4つご紹介します。
順番に確認してみましょう。

天気が良く、乾燥した日に片づける

お人形の収納には、からっとした天気の良い日がおすすめです。
湿気が多い日に収納すると、箱の中や収納スペースに湿気を取り込みやすく、カビなどの原因になってしまうこともあります。湿度が少ない、乾燥した日にしまうようにしましょう。

しまう前に綿棒や毛ばたきでホコリや汚れを落としておく

ホコリや汚れを落とさずに収納すると、それらのものがお人形にこびりついてしまいます。
収納する前には、毛ばたきや綿棒を使って、汚れを落としておきましょう。
毛ばたきを使って全体のホコリを払った後、綿棒で細かい部分の汚れを落とすとお手入れが楽です。

お人形のお顔を優しく保護する

雛人形のお顔が汚れたり傷ついたりしないように、ティッシュペーパーやガーゼを使って保護するようにしましょう。
ただし強く包むと衣装や髪が崩れる恐れがあるため、優しく包むようにしてください。

収納ボックスには防虫剤を忘れずに入れる

衣装を虫食いから防ぐため、収納の際には必ず防虫剤を入れるようにしましょう。
その際はお人形に直接触れないように入れてください。

場所をとらずコンパクトに収納する方法

雛人形について多いのが、収納場所や収納の手間の悩み。雛人形を収納する場所がなくて困っている方や、出し入れが手間で毎年苦労している…という方も多いのではないでしょうか?
「コンパクトに収納したい」「取り出しやすい収納がしたい」という方は、これからご紹介する方法をぜひお試しください。

衣装ケースやジッパーバッグを使って保管する

雛人形を個別に包装し、引き出しタイプの衣装ケースに保管する方法です。
お人形・お道具の出し入れがしやすく、ダンボールのように箱がボロボロになりません。

また、ひとまとめにできるので収納スペースが節約されます。
すでにある衣装ケースの中に空いている段があれば、それを活用するのもいいでしょう。

また、お道具をまとめてジッパーバッグに収納する方法もおすすめです。
かさばらずにまとめられるので、コンパクトに収納できます。

購入時の箱の収納性が高い場合はそのまま活用する

雛人形を購入した際についてくる箱は、その雛人形に合わせて作られており、収納しやすい形になっていることが多いです。
購入時と同じように収納すれば、まずトラブルはないでしょう。

購入時の箱は使いにくい場合は小分けにして収納する

付属の箱が収納に適していない場合は、小分けにして適度なサイズの箱に収納するのがおすすめです。お道具はお道具で、お人形はお人形で分けて収納すると、スペースがコンパクトにまとまります。桐の箱は通気性が高く、防虫効果もあるため、特におすすめです。

購入時の箱は使いにくい場合は小分けにして収納する

付属の箱が収納に適していない場合は、小分けにして適度なサイズの箱に収納するのがおすすめです。お道具はお道具で、お人形はお人形で分けて収納すると、スペースがコンパクトにまとまります。桐の箱は通気性が高く、防虫効果もあるため、特におすすめです。

片付けを楽にする収納方法

雛人形のお片付けが楽に済む方法を2つご紹介します。

ガラスケースのまま収納する

ガラスケースに入っているお雛様であれば、ケースごと収納するのも一つの方法です。
そのまま収納し、必要な時に出すだけなので、収納・お飾りどちらも楽に済みます。

不織布の袋を使って収納する

紙やガーゼで包んだお人形・お道具を不織布の袋に入れると、手軽でコンパクトな収納ができます。一つひとつが小さい袋にまとまるので、出し入れが簡単に済みますし、デッドスペースにも収納しやすくなります。

湿気を防ぎカビや傷みを抑える方法

雛人形に湿気は大敵です。じめじめとした環境ではカビが繁殖しやすく、お人形や衣装の劣化に繋がります。
これからご紹介する方法を試して、お人形をきれいに保ちましょう。

収納ケースや収納場所にゆとりを持たせる

収納する箱の中身がお人形とお道具で埋まっていると、擦れによって傷がつきやすくなります。
雛人形をしまう際には、箱の中にお人形やお道具をぎゅうぎゅうに詰め込むのではなく、ゆとりを持たせるようにしましょう。

お道具はお道具で、お人形はお人形で、それぞれ分けて収納するのがおすすめです。

また、収納する空間そのものに余裕を持たせることも重要です。
収納しているものが多いと、取り出すのにも苦労しますし、空気の対流が悪くなりカビの原因にもなります。
収納した箱の周りには空間をあけて、空気の通り道を作るようにしましょう。

定期的に換気をする

空気の循環が悪いとカビや虫が繁殖しやすくなってしまいます。
収納場所の換気は定期的に行いましょう。
天気が良く、湿気が少ないときに陰干しをすれば、お雛様をよりきれいに保てますよ。

まとめ

収納のポイントを抑えれば、コンパクトな保管ができます。
収納後も定期的に換気を行ったり、陰干しをしたりして、雛人形を良い状態に保つようにしましょう。
今回ご紹介した方法以外にも、暮らしに合わせた収納法は沢山あるはずです。
雛人形の収納ポイントを参考に、住居に合った収納方法を探してみてくださいね。