桃園雛

体に対して大きなお顔という、まるで生まれたばかりのお子様のようなお姿は五色・原孝洲独特の人気作品です。やさしく上品なお顔立ちの秘密は手描きのお顔にあります。この大きさのお顔だからつぎ込める笹目（ささめ）の技法が見もので、細かな筆のタッチで濃淡の墨を使いわけ瞳を描きいれます。また、手描きの髪の生え際、口元など細部に至るまで､持てる技術を惜しみなく注ぎ込んだ逸品です。お人形の命である髪は、上質な絹糸をふんだんに用い、空気をまとってふんわりと仕上げました。お衣装も高級織物の老舗織元・誉田屋勘兵衛のツヤのある西陣織に草花菱文様を着付けたこだわりのお雛様です。眺めていると自然と笑みがこぼれてくるような、特別な作品の雛人形です。お子様とご家族との愛情をつなぐ桃の節句。末永くお楽しみいただくにふさわしい、まさにハレの日の雛人形です。